筆記具の基礎知識
ボールペンの基礎知識
ボールペンのリフィルには様々な規格があります。A1、A2、B、D、E、F、G1、G2等があり、ここでは代表的な規格について説明します。リフィル(替芯)の規格が同一である場合は、異なるブランドでも互換性を持ち、リフィルを使用することができます。ただし、規格の設定として誤差が認められているため場合によってはペン先が出ない/収納できない/抜けるなど適切に使用できない場合があるので注意が必要です。
また軸が広がってしまうなどのトラブルを起こす場合があり、他社製のリフィルへの交換はメーカー保証外となり自己責任で行って下さい。
JIS規格:G2型/パーカータイプ | JIS規格:D型/4Cタイプ | クロスタイプ | オリジナル規格 | |
形状 | ![]() |
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説明 | イギリスのブランドであるパーカーから始まったため「パーカータイプ」と呼ばれ、多くの海外ブランドで採用されている「G2型」のリフィルです。パーカー互換と呼ぶこともあります。大容量リフィルとしては最も互換性の高いリフィル規格です。 | ゼブラD型芯の品番が名称の由来となったリフィルタイプです。多機能ペンやショートペンに多く対応しています。俗に4C互換などと呼ばれ、海外ではD1などとも呼ばれます。国内では比較的安価なボールペンにも使われ、海外でも互換性の高い規格です。 | その名の通りでクロスが規格・採用しているリフィルです。一部他ブランド(オロビアンコ等)も採用していますが、G2型(パーカータイプ)、D型(4Cタイプ)に比べると互換性がありません。国内では三菱がクロスタイプのリフィルを販売しています。 | それぞれのブランドで規格された専用リフィルです。互換性はありませんが、フィッシャーのみ付属のパーツをつけることでパーカータイプに対応します。セーラーはシェーファーの代理店を務めていたことがあるためリフィルが共通となっています。 |
対応表 | パーカー| アウロラ| オマス| カヴェコ| カルティエ| グラフ・フォン・ファーバーカステル| ステイピュラ| デュポン| デルタ| ビスコンティ| ファーバーカステル| ペリカン| ポルシェデザイン| モンテグラッパ| モンテベルデ | アウロラ| オロビアンコ| カランダッシュ| グラフ・フォン・ファーバーカステル| クロス| セーラー| デュポン| デルタ| パーカー| パイロット| ペリカン| ビスコンティ| プラチナ萬年筆| モンテグラッパ| モンテベルデ| モンブラン| ラミー | クロス| オロビアンコ | シェーファー| セーラー| ウォーターマン| カランダッシュ| パイロット| フィッシャー| プラチナ萬年筆| モンブラン| ラミー |
ボールペンのインクには様々な種類があります。筆記環境(紙・筆圧)によって異なりますが、おおまかに溶剤や水に強い油性インク、スムーズな筆記が可能な水性インク、両方の良さを合わせたゲルインク、摩擦熱等を加えると筆跡が消える特殊なインクのフリクションインク、油性インクのフローを改善したイージーフロー等、好みや用途に応じて使い分けるのも、ボールペンの楽しみのひとつです。
また、インクの素材が染料であるか顔料であるかによっても分類されます。染料はインクが紙に染みこむことで筆記するので発色に優れます。顔料はインクが紙の上に付着するので耐久性に優れています。染料と顔料の分類は各メーカーによって割合も異なりますのでこのページでは行いません。
油性インク
一般的に「ボールペン」と呼ばれるペンは油性インクが採用されています。インクの滲みが少なく裏移りがしづらいのが特徴です。乾燥に強く、耐久性があるため経年劣化による変質がしにくい利点があります。 反面、長時間使用せずに保管するとインクが固まり筆記ができなくなる欠点があります。水性に比べると書き味が重く、ボテがでますが、粘度が40%程度低くインクが固まりづらいするすると書ける「イージーフロー」タイプも登場。 ボールペンの大家パーカーでは「クインクフロー」と呼ばれる速乾性に優れた低粘度インク、パイロットも潤滑剤を配合してペン先にあるボールの摩擦抵抗を減らす工夫を施された「アクロインキ」を発売、これら低粘度油性インクは近年人気があります。 もっとも実用性の高いインクです。
水性インク
インクが水性のため滲みやすいが弱い筆圧で書け、よりくっきりとした線を出すことができます。油性に比べ書き味が軽く、ボテが出ません。ただ、滲みやすいため複写等の用途には向きません。また、油性に比べ耐久性が劣り書いた文字が経年劣化で変質します。 海外ブランドの多くではローラーボールと呼ばれ人気が高いです。日本メーカーでは水性ボールペン、ローラーボールペンで名称が混在し、海外と比べると一般的ではありません。アルファベットの筆記や、軽い筆圧を好む人、長文の筆記などに適しています。
フリクションインク
パイロットが開発した、温度変化により色が変わり摩擦熱で筆跡が無色になる特殊なインクです。公文書などでは改ざんの恐れもあり使用が禁止される場合があります。炎天下の車のダッシュボードなどに置いておくと文字が消えてしまう場合がありますが、 冷凍庫など低温下に置いておくと再び文字が現れます。書いて消して、また書ける鉛筆のように使え、カラーバリエーションも豊富なのでノートを綺麗に取りたい学生さんにおすすめ。
ゲルインク
油性と水性の良さを併せ持ったタイプで、リフィル内は高粘度のゲル状で筆記する際にペン先で圧力がかかると粘度が下がり筆記することができます。滲みが少なく、発色が鮮やかで滑らかな書き味が特徴です。 ゲル状なので水に強く、油性ボールペンからの乗り換えもおすすめ。また、書き味がソフトなため水性ファンにも違和感なくお使いいただけるでしょう。完璧とも言えるゲルインクですが、インクの減りが早いというのが唯一のウィークポイント。
万年筆のペン先について
万年筆はペン先の太さによって、書ける文字の太さが決まります。
一般的にはEF・XF(極細)・F(細字)・M(中字)・B(太字)と表記されます。
ただし、各ブランドの基準によって太さは異なり、海外ブランド製品は日本ブランド製品と比べてやや太い傾向にあります。
初めて万年筆を使用される方はF( 細字) をお試しいただくことをお勧め致します。
主にサインや署名に使用される方にはM( 中字) やB( 太字) がお勧めです。
また、OM、OB といったペン先が斜めにカットされている特殊なペン先があり、ペンを傾けて持つ癖がある方や筆跡の強弱を楽しみたい方向けです。
EF・XF(極細) | F(細字) | M(中字) | B(太字) |
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これはインクに含まれる硫酸、塩酸などに強く腐食しにくくするためです。
金の割合が多いほどペン先は柔らかくなりますが、形状や厚さによって影響を受けます。
そのためペン先の素材で硬さを判断することはできません。
インクの充填方式は大きく分けて「吸引式」「コンバーター式(両用式)」「カートリッジインク式」の3 つの方法に分かれています。
携帯性やコストなどで使用される目的によって向き、不向きがありますので、目的にあった方式を選びましょう。
吸引式 | コンバーター式(両用式) | カートリッジインク式 | |
ボトルインク | Ο | Ο | Χ |
カートリッジインク | Χ | Ο | Ο |
吸引式

ボトルインクからインクを吸い上げてペン内部にインクを補充します。
入るインクの容量が3 つの方式の中で多いことが特徴ですが、インクの補充に手間がかかる場合があります。
そのため一度に多く筆記されることが多い方や万年筆の醍醐味を味わいたい方にお勧めです。
コンバーター式(両用式)

カートリッジインクを挿して使用することができ、コンバーターと呼ばれる取り外し可能な吸引器を取り付けてボトルインクからインクを吸い上げて使用することもできる方式です。
現在の万年筆は大半がこの方式を採用しています。
カートリッジインク式

インクが使い捨ての筒型プラスチックインクタンクに入っておりペン内部に差し込むことで使用できます。
気軽に扱え、携帯性に優れていますがコスト面では吸引式に比べてやや割高になります。
吸引式
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1. 尻軸(吸引ノブ)を左へ止まるまで回します。(ピストンがペン先側に下がります。)※無理に回すと故障の原因となります。各商品の仕様をご確認下さい。
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2. ペン先全体をインクの中に入れて下さい。ペン先がインクから持ち上がると空気を同時に吸い上げ、十分なインクを吸引できません。※ペン先とインク瓶が当たらないように注意して下さい。
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3. 尻軸(吸引ノブ)をゆっくり右に回してインクを吸い上げます。インクの吸引量が不十分な場合は、ペン先を浸したまま尻軸を左回転させインクを排出し、右回転で吸引を繰り返します。
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4. 吸引が終わったら、ペン先をインクから持ち上げ尻軸(吸引ノブ)を少しだけ左回転させ2 ~ 3 滴を瓶に戻し、もう一度尻軸(吸引ノブ)を止まるまで右回転させます。
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5. ティッシュを机の上に置いて、ペン先を下にむけて軽く振り不要なインクを振り落とします。ペン先を机にぶつけない注意して下さい。
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6. ティッシュで首軸やペン先の根本に付着したインクを包み込むように拭き取ります。
コンバーター式
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1. ペン軸から首軸付きペン先を取り外しコンバーターをしっかりと装着させます。装着終わったら吸引ノブを左へ止まるまで回します。(ピストンがペン先側に下がります。)※無理に回すと故障の原因となります。
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2. ペン先全体をインクの中に入れて下さい。ペン先がインクから持ち上がると空気を同時に吸い上げ、十分なインクを吸引できません。※ペン先とインク瓶が当たらないように注意して下さい。
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3. 吸引ノブをゆっくり右に回してインクを吸い上げます。インクの吸引量が不十分な場合は、ペン先を浸したまま尻軸を左回転させインクを排出し、右回転で吸引を繰り返します。
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4. 吸引が終わったら、ペン先をインクから持ち上げたら吸引ノブを少しだけ左回転させ2 ~ 3 滴を瓶に戻し、もう一度吸引ノブを止まるまで右回転させます。
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5. ティッシュを机の上に置いて、ペン先を下にむけて軽く振り不要なインクを振り落とします。ペン先を机にぶつけない注意して下さい。
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6. ティッシュで首軸やペン先の根本に付着したインクを包み込むように拭き取ります。
カートリッジインク式
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1. ペン軸から首軸付きペン先を取り外します。
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2. カートリッジインクの先端に穴が空くように垂直に差し込みます。ペン先へインクが伝わるまでしばらく待ちます。
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3. ※すぐに書き出したい場合やなかなかインクがペン先に到達しない場合は、カートリッジの中央部を軽く押したり、ティッシュでペン先を包んで軽く振ってペン先にインクを馴染ませます。

吸引式
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1. 尻軸(吸引ノブ)を左回転させタンク内のインクを排出して空にします。インクをインク瓶へ戻すと腐食の原因となるため廃棄して下さい。。
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2. 水を入れたコップなどにペン先を浸してすすぎます。また、尻軸(吸引ノブ)を左右に回して水の出し入れを繰り返し行います。水を何度か交換してインクの色が出なくなるまで行って下さい。
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3. 流水で軽くすすいだ後にペン先を軽く振って水分を切り、ティッシュペーパーでペン先を包み込むように軽くあてて水分をできるだけ取り除きます。また、自然乾燥でも問題ありません。
コンバーター式
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1.コンバーターを取り付け、インクの色が出なくなるまで吸引ノブを左右に回して水の出し入れを繰り返し行います。水を何度か交換してインクの色が出なくなるまで行って下さい。
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2. コンバーターを抜き水を入れたコップなどにペン先を浸してすすぎます。水を入れ替え、そのまま水の入ったコップに浸けたままにして一晩ほど置いておきます。
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3. 流水で軽くすすいだ後にペン先を軽く振って水分を切り、ティッシュペーパーでペン先を包み込むように軽くあてて水分をできるだけ取り除きます。また、自然乾燥でも問題ありません。
カートリッジインク式
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1. 首軸付きペン先からカートリッジインクを取り外します。
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2. 水を入れたコップなどにペン先を浸してすすぎます。水を入れ替え、そのまま水の入ったコップに浸けたままにして一晩ほど置いておきます。
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3. 流水で軽くすすいだ後にペン先を軽く振って水分を切り、ティッシュペーパーでペン先を包み込むように軽くあてて水分をできるだけ取り除きます。また、自然乾燥でも問題ありません。
万年筆を長期保管する際は、インクを入れたままにしておくと内部で粒子が詰まったり腐食して故障の原因となります。
内部を綺麗にしてから冷暗所で保管して下さい。